- 一番体が小さく高齢でおとなしそうなアパは、「脱走」が得意です。少し目を離すと、馬栓棒を鼻でずらしたり、横木を押し割ったり、時には匍匐(ほふく)前進まで使って外に出かけてしまいます。出たら近くに生えている雑草をひたすら食べ続けるだけですが……。犬のサスケはアパが大好きで、一緒にいるのが楽しそうです。
アパ、クリス、ユッキーの3頭は20才を超えた高齢の馬たちですが、子どもも大人も大好きで、たんたんと仕事をこなしています。 - クリスの砂あびはとても丁寧で、雨の降った次の日など、ずっと馬房の中にいてはきゅうくつだろうと放したが最後、尻から頭まで泥だらけにしてしまいます。若い頃は相当やんちゃな馬だったようですが、今は人を困らせるようなことは何もしません。
- ユッキーは何人かの大人の隠れファンがいて、他市のある乗馬クラブのオーナーもとても気に入って見に来るくらい人気があります。
一見上品?で、ベテランの風情を感じさせるのですが、実は、馬房にいるときはあまりいただけません。おならもよく出るうえ、ボロをあちこちにするだけでなく、まんべんなく歩いてかき混ぜてしまうのです。ですからユッキーの馬房掃除は時間がかかり大変です。
性格はよく、走る姿はかわいいポニーというよりリトルホースの体型です。 - エヘガザルのボスはキクです。来た時は2歳になったばかりで、他の3頭はベテランの馬たちでした。中年の牝馬がボスになる可能性が強いと言われていますが、それに見合うユッキーはボスの座などは考えもしないようでした。クリスやアパはなかなかの存在感がありましたので、キクは若くて力を発揮するまでには少し時間がかかりましたが、ここ数年のうちに貫禄がつきました。今ではすっかりボスの座に収まっています。
- ラッキーは、2010年12月にチャンプと一緒にエヘガザルにやってきました。ラッキーは、一番高齢で、一番仕事の多いアパの代役として探しました。ラッキーの冬毛は白っぽいクリーム色で、たてがみと尻尾の黒い河原毛という毛色で、夏にはベージュ色に変わります。見た目は「かわいい!」としか言いようがないぬいぐるみのようなポニーです。
来たばかりの頃のラッキーはどの馬にもチョッカイを出し、走り回る様子はやんちゃそのもので、手入れのときでも引き馬をしていてもバタバタ暴れていました。そんなラッキーも今では落ち着いて、子どもたちにブラシがけやひずめの裏掘りなどもしてもらい、子どもをしっかり乗せてくれます。 - チャンプは2010年12月、ラッキーと一緒に牧場にやってきました。祖父母が、アパルーサ、輓馬、ウェルシュ、シェトランドという何とも複雑な血統のポニーです。第一印象は「首が太い」ということでした。
性格は、エヘガザルの馬たちの中では一番甘えん坊です。そう書いてしまうと、かわいい馬のような気もしますが、馬の甘えん坊は暴れん坊と紙一重です。来たばかりの頃は、ずいぶん苦労しましたし、良い勉強にもなりました。
今ではすっかり落ち着いて、野あそび会でも活躍できるようになってきました。仔馬のホープのいい遊び相手です。 - グラシオは2010年11月上旬、茨城県から長い間馬運車に揺られて、エヘガザルに来ました。クリオージョという南米のアルゼンチン原産の日本にはまだ数頭の少ない品種で、薄墨毛(ウスズミゲ)という珍しい毛色の馬です。また、クリオージョの中では大きい方で、体高(足の先から背中のキ甲というたてがみの先の飛び出たところまで)が150cm以上あり、エヘガザルでは初のポニー(ポニーは体高147cmまで)ではない「馬」を飼うことになりました。
もうひとつクリオージョの大きな特徴は、背中や肢(アシ)にダンとか、鰻線(マンセン)と呼ばれる縞模様があることです。グラシオもくっきりと、両前肢に虎のような模様が出ています。 - 2011年2月12日に牧場に来たばかりの「みなみ(登録名MINAMI)」です。熊本にあるグリーンバレーという大きな乗馬クラブから赤ちゃんがお腹にいる状態でやって来ました。
子どもたちの乗馬をはじめ、障碍児乗馬や学校訪問などの活動には、より安全で誰にでも愛される馬であることが第一の課題ですが、「みなみ」はその課題に十分こたえてくれる馬です。そして、2011年7月7日に仔馬が誕生しました。 →ホープ出産までの道のり
出産が近くなると、みなみより周りの人間の方がそわそわしていました。出産は、「初乳」といって、黄色いネバネバのおっぱいが出るようになり、それが確認されてから6~8時間で生まれるとのこと。毎日毎日、今日はどうか? とみなみのおっぱいに注目!でした。
6月26日の馬祭りの日、みなみの胴回りは220㎝でした。
出産のときは240㎝でした。
6月9日
予定日が近ずくと、人間なら散歩や床磨きをやるといいといいます。
それで妊馬散歩に連れ出しました。
少し歩くと息づかいが荒くなり、すぐに立ち止まって草を食べる。食べ始めたら、もうなかなか動こうとしません。
牧場にもどって馬場に入ると、さっそくゴロリ。大きなおなかをしていても、クルリ一回転。
そして、いよいよその日―2011年7月7日
みなみの赤ちゃん誕生 !!
7月7日朝、6時頃に生れ落ちたらしい。
というのは、誰も見ていなかったのです。夜中2時半にスタッフが見にきた時には、とても落ち着いていて生まれる気配なし、ということで一旦解散しました。
3時半頃に別のスタッフが来ましたが、やはり落ち着き払っていて、「まだまだ生まれないね」ということで、5時頃みんな引き上げました。
そして、また別のスタッフが6時15分に馬房をのぞいてみると、なんと生まれていたのです。
オス。とても精悍な顔立ち。額の”星”が美しい!!
6時43分、ようやく立ち上がりました。それでも、またガクンと座り込み、また必死で立ち上がりました。
それから、おっぱいを探しあてて飲めるようになるまでが、また大変。見守る人間のほうが「そこそこ」「もうちょっとこっちよ」と、もどかしさに肩が凝ってしまうほどでした。
おっぱいを飲んでは、バッタリとおひるね
7月8日
2日目にはもう馬場に出ました。
7月9日
誕生3日目。猛ダッシュで走り回っています。自分のスピードを制御できず、時々パタッと倒れていました。
いくら走り回っても、お母さんのまわりだけ。みなみは、やんちゃな赤ん坊を、ゆったりと見守っています。
ぼくの名前は「ホープ」(Hope)に決まったよ。
ホープというのは、「希望」という意味なんだ。エヘガザル生まれのぼくは、エヘガザルの”希望の星”なのだね。よろしくね。
名前の投稿は127通ありました。
その中に「ホープ」というのが2件あり、スタッフ一同の賛成で選びました。
7月11日(生まれてから4日目)
歯茎の上下に、白い歯が見えます。
おっぱいを飲んで、幸せの顔。
安心しきった寝顔!! 半開きの目でグッスリ
「お母さん、ぼくもお水飲んでみようかな」
実際は水の中に口を突っ込んでいるだけで、うまく吸えないのです。
「お母さんは、何食べているの? ぼくもなめてみようっと」
エサ箱の中をなめまわしていました。
馬場に出ると、このとびはねよう。滞空時間の長いこと!
7月15日(生まれて8日目)
もう歯茎からしっかり歯が見えて驚きました。
チャンプが大好き。
チャンプもホープを上手に遊ばせてくれます。
チャンプに対して後ろ蹴りまでやっても、チャンプは適当にあしらっています。
9月30日
お母さんのみなみに、まだまだぴったりくっついている時もあります。
10月16日
母みなみ「ホープ、いつまで寝てるの?」
どんどん大きく成長するホープですが、寝るときはこの姿。